沖縄の電気代は本当に高いのか — 単価は高い、総額は安い
「沖縄は暑いから電気代が高い」は、統計では裏づけられない。
物価指数で見ると沖縄の光熱・水道は105.0(全国平均100、東京は96.2)で確かに高い。 ところが那覇市の実際の支出は全国より年23,254円安い。
那覇市の光熱・水道の支出(年額・二人以上の世帯)
| 費目 | 那覇市 | 全国 | 差 |
|---|---|---|---|
| 電気代 | 138,848円 | 149,965円 | −11,117円 |
| 都市ガス | 27,764円 | 39,035円 | −11,271円 |
| プロパンガス | 35,825円 | 20,309円 | +15,516円 |
| 灯油 | 2,203円 | 15,094円 | −12,891円 |
| 上下水道料 | 57,567円 | 61,058円 | −3,491円 |
| 合計 | 262,207円 | 285,461円 | −23,254円 |
電気代そのものが全国より安い。 那覇市は52市中35位である。
理由は使用量
電気の使用量は4,157kWhで、全国平均の4,823kWhより少ない。52市中46位にあたる。
単価は高いが、使う量が少ない。 決定的なのは灯油で、 那覇市の2,203円は全国15,094円のおよそ7分の1しかない。 本土の冬の暖房コストが沖縄には存在しない。 冷房は暖房よりエネルギーを食わないため、通年で見ると沖縄のほうが安く収まる。
ただしプロパンガスだけは全国5位
那覇市のプロパンガス支出は35,825円で、全国20,309円より15,516円多い。52市中5位。 逆に都市ガスは27,764円と全国より少ない。
都市ガスの普及が限られ、プロパン比率が高いためと考えられるが、 普及率のデータを当サイトは持っていないので断定しない。
それでも実務的には、物件を選ぶとき「都市ガスかプロパンか」が本土以上に効く 可能性がある、とは言える。内見のときに確認する価値がある項目である。
この数字でできないこと
- これは支出金額であって価格ではない。 支出が少ないことは、 安いのか使う量が少ないのかを区別しない。単価の話は物価指数で見る。
- 二人以上の世帯の値。 単身世帯は含まない。移住検討者には単身も多い。
- 那覇市の値であって沖縄県全体の値ではない。
- 2023〜2025年の3年平均。 単年の実績とは一致せず、燃料費の急騰は平均に埋もれる。
- フルリモートで在宅時間が長い世帯には当てはまらない可能性が高い。 平均は「日中は家にいない世帯」を多く含む。
最後の点が、この記事で最も重要な留保である。 在住実測データが溜まったら、統計の平均から実際の世帯がどれだけ外れるかを このページに並べる予定である。それまでは平均の話しかできない。
出典
- 総務省統計局「家計調査」品目別 都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023〜2025年平均、二人以上の世帯)
- 総務省統計局「小売物価統計調査(構造編)消費者物価地域差指数」2024年結果
合計(262,207円 / 285,461円)とその差(23,254円)は、 上記の統計そのものではなく、当サイトで計算した派生値である。 出典の一覧と取得日は /sources/ にある。